キャバクラ「バシュエ」。
繁盛していないけれどなかなか潰れない、不思議な店。
今夜は珍しくお客様来店?ドアが開いた。
「アッ、いらっしゃいませ~。」
「ここ、まぼろし?」
「いえ、バシュエですう。」
「え?場末?」
「違います~。バシュエ!まぼろしさんはお隣ですよ。」
「間違えてしまったよ。失礼、今度飲みにくるね。」
「いっちゃった。」
「無神経な人ね。場末だなんて。ああいう人嫌い。」
「でも飲みに来てくれるって言ってたわよ。」
「本当だかわかんないわよ。私、名前とか間違われるの、すごく嫌なんだよね。」
「そんなに怒ることではないと私は思うんだけど。。
自分たちだってなかなか人の名前覚えるの大変じゃない。」
「でもいやなの!すごく失礼な感じだもん。無関心なんだな、って。」
名前を間違われてとても怒っているキャバクラ嬢、チーズ。
彼女がそんなに怒る理由は彼女の過去にありました。
中学生時代に同じクラスの中に自分と外見が似ている友達がいたのですが、
彼女のほうはとても社交的ではきはきして目立つタイプだったのです。
それでよく彼女と間違えられて名前を呼ばれたりしたのです。
名前を間違えられるたびに「私は存在感ないんだな」
「誰からも気にしてもらえないんだな。」と寂しい想いを蓄積していたのです。
なので名前を間違えたり、覚えない人は
チーズにとっては自分の存在を無視する人、
チーズに存在感のなさを痛感させて寂しくさせる嫌な奴、だったのです。
この話を知らない人にとっては
「名前を間違えたくらいで、なんでそんなに怒るんだろう、短気な人。」
と思ってしまうかもしれません。
そしてチーズを「短気な人」と決めつけてしまう。
本当のチーズには出会えていないことになります。
人の発言の裏には、その言葉を言わせる背景があるんですよね。
決めつけてしまう前にどうしてこの人はこう言ったのかな、
と考える間があるといいですね。
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