夫婦喧嘩をひも解くと②

酒野さん夫妻はケンカが多い。

 

妻のツマ美さんは今日もぷりぷりしながらまぼろしに飲みに来た。

 

「聞いてよ。うちの人って信じられない無神経。

今朝、寒かったからか何となく目がさめそうになってたんだけど、

丁度うちの人が起きだすところだったの。」 

 

「うん。」

 

「それでね、一緒に寝てるネコに布団をかけてあげて、

寒そうにしてる私には見向きもしないで部屋を出て行っちゃったの!

私のことなんてどうでもいいんだわ。私なんてネコ以下なんだわ!」

 

「え、待って待って。だってあなたが寒そうにしてるって旦那さんにはわからないじゃない?」

 

「でも普通わかるじゃない?朝寒いんだから。」

 

「いやいや、寒いとか体感って人それぞれだし。。」

 

「えーッ。」

 

 

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観点、という言葉を知っていますか?

簡単に言うと判断基準のことです。

人ってみんな考え方が違うから観点も十人十色なんですが、

なぜか自分の感じるように人も感じるはずだ、と思いがちです。

それは無意識では自分の観点が絶対だ、って思っているからなんです。

 

この話からするとツマ美さんは

自分が寒いと感じていたらみんな同じく寒いだろうと思っていて(無意識に)

だから旦那さんが布団をかけてくれないのは、

自分を大事にしてくれていないということだ、と考える観点がある。

 

 

「ちょっと待って、確認してみる。」

ツマ美さんはいきなり夫に電話をかけはじめた。

数分後。

 

「どうだった?」

 

「今朝、暑くて起きたみたい。

でもタマ(猫)が震えていたから、寒いのかと思って布団かけたんだって。

私も布団かけてなかったのはやっぱり暑いんだな、と思ってたんだって。」

 

「なんだ、ちゃんと見てくれてていい旦那さんじゃない。」

 

「ははは。」

 

「はいはい、ごちそうさまでした(笑)。今夜のお酒も怒りのヤケ酒にならずによかったね、乾杯!」

 


(つづく)

 

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