母との本当の出会い①

私は

さいころから母を喜ばせたくて頑張ってきたように思います。

でも一度も成功した感触がありません。

母は私が何を頑張ってもそんなには嬉しくないみたい。

いつからかそんな風に感じてました。

 

私の母は裕福でない家庭の出身だったのですが、

田舎から上京して定時制高校に通いながら働きはじめました。

数年後、父と出会い結婚しました。

 

田舎者の母から見ると父の家はハイソな家庭でした。

父は、母の憧れである大学生だし、

母と歳の変わらない父の妹(私のおば)も大学で学び、

お茶やお花をたしなんでいました。

一度、父の両親から結婚を反対されたらしく

母は自分の家が貧乏な事や自分に学歴がないことを気にしていたと思います。

そんな話を度々ききました。

 

父の家に対して引け目を感じている母を助けたい!

母が大好きな私はそう思いました。

 

私が幼児の時、同い年の子より先に字が読めたことを

母が嬉しそうに話していたのを聞いて

勉強を頑張ったら母が喜ぶかもしれない、と思いました。

勉強しているうちに楽しくて成績も上がりました。

 

良い成績を母は喜んではくれましたが、

私が期待したほどではありませんでした。

というのも、母が最も気になっていたのが私の弟のことだったのです。

 

弟は病弱で、いじめを受けたこともあったり何かと母は心配でした。

勉強も嫌いだったので入れる高校があるのか危うい感じでした。

弟が入学が決まった時は本当にホッとしたようでした。

高校に通い始めたものの相変わらず勉強せず、

思春期特有の反抗期でもあり、

弟がこの先大丈夫なのか、就職できるのかなど母の心配は尽きませんでした。

 

母が心配しないように、と思っているうちに

私は色々なことを器用にこなすようになりました。

それでますます手のかからない子になっていたのですが、

そんな私が何か頑張って母を喜ばせようとしても

「普通」のことになってしまうのか、あまりパッとしませんでした。

反対に手のかかる弟が何かできることが一つでも増えたりすると

母はすごく嬉しいんだな、と感じました。

 

なんだか自分が無力で寂しい気持ちがしました。

母にとって私はあまり重要でないような気がしました。

それでも何か外で褒められたりすることがあると

「これ聞いたら母は喜ぶかな、」とふと思ってしまうのでした。

 

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だいぶ時間がたってオトナになってから

びっくりすることがありました。

母と話をしていた時ふいに

「子供は思い通りに育たなかった」といったのですが

弟のことを話しているのかと思ったら、

私のことも含まれていたのです。

これは私にとって意外な母の発言でした。(つづく